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天海大僧正の銅像
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職場のメンタルヘルス対策〜基礎編〜 メランコリー親和型うつ病は再発にくれぐれも注意を はじめに「職場メンタルヘルス対策」の経緯 メンタルヘルス不全者は増加傾向に 私が現場の産業医として仕事をするようになった10年ほど前までは「職場のメンタルヘルス対策」は一部の職場の問題と考えられていました。 実際にメンタル不全者の数が少なかったこともあるでしょうし、そういう病気であることがわからなかったかもしれません。または、意図的に明らかにされなかったのかもしれません。 いずれにせよ、平成14年ごろから、メンタル不全による休職者が急速に増えて、企業の担当者はその対応にとまどい、悩むことが多くなりました。 また、電通事件などの歴史に残る判決が出たことで、メンタル疾患発症への企業責任が明確になりました。そのため、当時の産業衛生学会や研究会では「メンタルヘルスの講演」の需要が急速に高まり、どの学会もメンタルヘルス一色に染まり、会場は満員という状況でした。 我々も、それまでの知識と経験では対応できず、研究機関や先進企業(メンタル不全多発の)の発表や講演を熱心に聴いたものです。その後、厚生労働省から諸々の指針が出されて、企業として取り組む姿勢が確立されたのはご存知のとおりです。 しかし、職場のメンタルヘルス不全者は減るどころか増えています。 最近は、地域や職種、業種、年齢、性別に関わらず、どんなところでも「職場のメンタルヘルス」の問題を抱えていますが、その内容は様々です。 働き過ぎによる過労や職場のコミュニケーション不足による典型的なうつ病が絶えない職場、対策不足による再発や離職の多い職場、幹部や上司の理解のない企業もまだまだ多いのですが、一方、メンタルヘルス対策や体制が機能しているのにも関わらず、周囲が扱いに困るケースが散見される職場、など、一口に「職場で見られるメンタルヘルス不全」と言っても、その中身は多種多様です。 そこで、本稿では、いろいろなタイプのケース・スタディを通して、メンタルヘルス不全者への対応と、発症予防について考えてみます。
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基礎編【T】 職場で遭遇するメンタルヘルス 不全の病気(メンタル疾患) 1.[うつ病] この20年間で、日本のうつ病患者数は10倍に増えて、100万人を超えています。一口にうつ病といっても、実はいろいろなタイプがあり、最近は臨床の場面でもうつ病の多様性が問題になっています。 うつ病の分類法はいろいろありますが、今回は職場での対処法という観点から下記のように分類し、私が経験した症例を元にして、症状と進行の特徴、本人の性格と原因、職場対応、休職と復職などのポイントを盛り込んだ話を作ってみました。 [多様なうつ病のタイプ] (1)メランコリー親和型うつ病 (2)パフォーマンス型うつ病 (3)双極性うつ病 (4)ディスミチア(気分変調性)親和型うつ病 (5)自己愛型(現代型うつ病)うつ病 (1)メランコリー親和型うつ病 きまじめで几帳面、やや柔軟性に乏しい性格の人が、目標に達しないことに罪悪感を感じて落ち込んだり、コミュニケーションをうまくとれずに発症するタイプです。従来は、うつ病といえば、このタイプが主流でした。 新製品開発を任された後に体調不良に 症例Mの@ Aさん27歳は、大学を卒業後、都内の工場に就職した入社4年目の技師です。実家が遠いので寮生活ですが、寮でも職場の休憩所でも同年代の社員とはほとんど話をせず、いつも一人で携帯電話を見ています。でも、課長が話しかけると、礼儀正しく、はっきりと受け答えをし、優秀で仕事熱心で真面目なため、よい評価を得ていました。 「そろそろ責任ある仕事を任せてみよう」と考えた課長は新しい製品の開発をAさんに指示しました。 それを聞いたAさんは内心では「そんなことやれるだろうか……どうしよう」と思いながらも「はい、がんばります。」と答えました。 その職場はベテランの現場担当者が多く、新製品のことを教えてくれる人はいません。自分で勉強しながら、手探りで進めるほかありません。 頼みの課長は出張や会議でほとんど席にいませんし、聞いても「そんなことは自分で考えろ」と言うだけです。3か月過ぎたころから、Aさんは以前よりもさらに無口になり、やせて暗い印象になりました。 ある日、昼食時に食堂でポツンと座っているAさんを人事主任のYが見つけました。Y人事主任は、Aさんの入社時から、その線の細い感じといつも一人でいることが気になっていたのです。 「あれ?A君、ちっとも食べてないね、具合悪いの?」と聞くと「最近、食べれないんです。いつも吐き気がして……」と力なく答えるAさんの様子に「これはヤバイぞー」と思ったY主任は早速、産業医の私に相談してきました。
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すっかり葉も落ち山の稜線がよく見える
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しばらく進むと突然雪景色
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"私は病気?"とがっかりした表情に Aさんに会ってみると、青白い顔でうつむき加減に、きちんと膝を揃えてイスに座り、私の質問に小さな声で答えます。 以前から寝つきが悪いが、数週間前から眠ってもすぐに目が覚めてしまい、ほとんど寝ていないこと、吐き気がして食欲がなく、食べても味がわからない、朝は体が重くて、休みの日は起きられない、自分に能力がないので職場に迷惑をかけていること、わからないことを聞く人がいなくてつらいけど、仕事だからがんばらなくてはいけない……そんなことをボソボソ話してくれました。 「Aさん、あなたは疲れがたまって、うつ病になりかけているから、ゆっくり休みましょう」と言うと、「私は病気なのですか……治りますか?」と、がっかりした表情です。 「だいじょうぶですよ、ゆっくり休んで、ちゃんと治療すれば、元気になるからね」私のことばに少しホッとした様子です。Y主任には、うつ病と思われるので精神科医に紹介すること、1〜2か月の休職が必要なことを伝えました。 職場の課長には、Aさんに病状を伝え、仕事のことを気にせずに休める配慮を依頼しました。「そうですか、まだ荷が重すぎたかな、ここを乗り越えれば、自信がつくと思ったのですが。」と残念そうです。 Aさんの性格では、無理をさせると、自殺の危険があることを話すと「そんなに悪いのですか……前からああいう陰気な感じなので、気にしてなかったのですが、そうだったのか……」と答えます。 Aさんは実家で療養することになり、数日後、Y主任に付き添われて郷里に向かいました。Y主任が両親に事情を話して休職や復職の制度について説明すると、理解を示してくれました。 復職するも数日間で休職前の状態に その後、AさんからはY主任にメールで報告が届きます。近くの病院に通院して毎日クスリを飲んでいること、よく眠れて、母親が作った食事をおいしく食べられるようになったが、とても疲れやすく、まだ何かする気力も体力もないそうです。 ところが、2カ月近くたつと、「長く休んでいては職場に申し訳ないし、体調も良くなったので、来月から出勤します」というメールが届き、翌日には会社の寮に戻ってきたのです。 復職面談をすると、Aさんはふっくらとして顔色は良くなったものの、表情は硬く、おどおどした様子です。どうやら、父親に「がんばらなくてはダメだ」と叱咤激励されて、早く職場にもどらないといけない、と焦ったようです。病状としては、まだ復職は無理なのですが、職場の課長と人事主任にAさんをしっかり見守ることを頼んで、復職を許可しました。 すると、予想通り、数日間でAさんは休職前の状態に戻ってしまいました。つらい思いをさせたことは気の毒でしたが、今度はAさんの父親も、焦らずにじっくり療養することが必要だと身に沁みてわかったようです。 その後、6か月間実家で療養し、普通に日常生活ができるようになりました。そして、上京して寮生活をしながら1カ月ほど経過を見た後に復職しましたが、周囲も無理をさせないようにしているため、今のところは無事に過ごしています。 家族の対応方法の説明なども重要 Aさんは、いわゆる「うつっぽい印象」の青年ですが、生まれつきの性格ですからそれを責めることはできません。課長も特に横暴でもないし、悪い人でもなさそうですが、もう少しAさんの性格を理解していたら良かったのでしょう。 一般に、管理職になる方たちはクヨクヨと悩まず、前向きな考えで突き進むので、Aさんのような性格を理解するのは難しいようです。 最近はどこの職場も人員が少なくなり、後輩に手取り足取り指導する余裕はなくなりました。気軽に相談できる先輩も少なく、経験の浅い新人が孤立してしまう危険があります。 Y主任の観察力と行動により、最悪の事態は避けることができたことは大いに評価したいと思います。いつも、若い社員はなるべく実家に帰って療養するようしますが、それは早い回復につながるだけでなく、両親の不安を軽くします。そして、Y主任のように諸事情を直接伝え、会社の誠意ある姿勢を示すことでトラブルを回避することができます。できれば、家族の対応のポイントも説明しておくと、父親が叱咤激励することもなかったでしょう。
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慣れない業務で心身が疲労し発症 症例MのA Bさん45歳(主任)は、真面目すぎるほど真面目で几帳面で慎重、規則や言われたことをきちんと守る誠実な人です。職場では、確実な仕事ぶりで信頼されている一方、融通が利かない点を疎ましく思われることもあります。 さて、4月から、Bさんは出向することになりました。 新しい職場は通勤に2時間近くかかる上、課長とBさんの外は派遣の女性職員が2名だけで、他の部署に依頼した書類をとりまとめる業務です。 もともと初対面の人と話しをしたり、相手にうまく調子を合わせるのは苦手ですが、仕事でそんな甘えは許されません。ぎこちない笑顔で頭を下げて書類を渡し、汗をかきながら電話口であやまる毎日……深夜、帰宅すると身も心もクタクタです。 でも、翌朝6時半に家を出て満員電車に乗らなければなりません。几帳面で納得しないと気が済まないBさんは業務を覚えるのに時間がかかり、仕事がどんどんたまっていきます。 そんなBさんにイライラした課長が「こんな仕事ができないのか!要領が悪くて使えない奴だ」と怒鳴りつけます。「すみません、がんばっているのですが、」と謝るBさんは内心は悔しい思いでいっぱいでした。 遅れを取り戻そうと毎晩残業しましたが、なかなか進みません。その上、派遣社員の一人が退職してしまい、さらに業務が増えたので、休日出勤して仕事をしました。 人員を増やしてほしいと課長に頼んだところ「君は10時には帰って、朝も始業ギリギリにしか来ないじゃないか、家が遠いというのなら、こっちに部屋でも借りたらどうだ。本社から人員削減のノルマが来ているのに、人を増やすなどとんでもない!」と怒られてしまいました。子煩悩なBさんには単身赴任は考えられないことです。 夏が過ぎたころには、夜中に何回も目が覚めるようになり、頭痛と耳鳴りがしてきました。何を食べても味がわかりません。新聞を読む気もおきず、テレビを見てもおもしろくないばかりか、ニュースを見て涙ぐんでしまうことがあります。 頭痛や腹痛がしても、疲れていても、毎日遅刻もせずに出勤していましたが、11月に入ると、仕事が全く進まず、ぼんやりすることが増えました。 毎晩疲れ果てた顔で帰宅し、ろくに寝ていない夫の様子を見かねた奥様が、以前の職場の知人に相談したことから、産業医の私に話が来ました。
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枝にも積もっている
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雑木林の雪景色 美しいものです!
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休職半年でBさんの様子に変化が Bさんに会ってみると、教科書のようにうつ病の症状が揃っていました。幸い、希死念慮(自殺願望)はないので入院の必要はなさそうだと考え、自宅近くのメンタルクリニックに連絡をとりました。厳しい課長の気持ちがこじれないように、人当たりが良い部長に間に入ってもらい、休職の手続きを進めました。 年が明けて、Bさんは休職中も毎月、近況報告に現われます。はじめの3か月は歩くのもトボトボと頼りなく、話す声も聞きとりにくく、ゆっくり、途切れがちに、クリニックでもらうクスリのこと、出向先でつらかったころや体調のことを1時間ほど話して帰ります。 何を見ても白黒写真のようで何を見ているのかよくわからない、食事は食べているのが砂を噛むようだ、子供が寄ってきても相手をするきになれないのがつらいなど、無表情な顔で下を向いて話しますが、いつも身なりは清潔できちんとしていました。 休職して半年が過ぎると、Bさんの様子に変化が見えました。歩き方と話し方が普通の速さになり、まっすぐに顔を上げて、私の目を見て話すようになったのです。でも、話の内容はあまり変わらず、出向先の課長に言われた言葉や、午前中は体が重くて動けない、新聞が読めないなどの話です。 ところが、翌月来た時は、今までと違って表情が柔らかく、自然な笑みが浮かんでいました。「先日、家の近くを散歩していたら、アジサイの花が咲いていたのですが、それを見て、ああ、きれいだなあと思ったのです。花をみてきれいだと思うなんて久しぶりでした。それからは、周りの景色がフルカラーに見えてきて、子供たちの声が聞けて幸せだと思いました。今は朝早く起きて図書館に行ったり、子供たちを公園に連れて行ったりしています。」
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休職の際は規則や手続きの説明を 患者さんから、「うつの症状はいつごろになったら良くなるのか?」とよく聞かされますが、私は「少なくても、つらいのをがまんしていた期間と同じくらいはかかると思って下さい」と答えます。Bさんも6〜7か月の間、心身の不調を訴えていたのですから、だいたい合っています。 「よかったですね、これからも体調には波があると思いますが、絶対に良くなりますから、悪いときも焦らないようにしてくださいね。」と言うと「はい、クリニックの先生からも同じように言われました。でも、会社はそんなに休めるのですか?」と心配そうです。 「Bさんは出向先で休職したから、きちんと説明していなかったですね。会社の規則では2年間休職できるので、まだまだ余裕ありますよ。傷病手当金の申請については聞いていますか?」 「はい、総務の担当者から電話をもらい、申請書類を揃えて提出したところです。」 本来は、休職する際に規則や手続きの説明をするべきですが、休職するときは急な状態が多いのと、聞いても覚えていないことがあります。後日、担当者や職場の管理職がきちんと説明しておかないと、後でトラブルの種になります。 その後、Bさんの体調は一進一退を繰り返し、休職からちょうど1年後に出向前の職場に復帰することができました。 その際、前出の部長が調整に奔走してくれたのですが、実は、Bさんを出向させたのは他ならぬ部長でしたので、その責任を感じて尽力してくれたようです。 時には「明るいあきらめ」も大事 「うつ病で休職することになって、奥さまは何と言われました?」と復職後、Bさんに聞いたことがあります。 「仕方ないわね、と言っただけで、それまでと同じように接してくれました。」 これは家族としての最高の支えであり、最良のケアです。 Bさんが思ったよりも早く回復できたのは、きちんと世話をしながらも、だまって、ごく普通に接してくれた奥さまのおかげだと思います。 真面目なBさんは療養態度も実に真面目で、きっちりと近況報告するところもあきれるほど几帳面です。もちろん悪いことではありませんが、社会生活のなかでは、もう少し柔軟性があった方が円滑に行くこともあります。 AさんもBさんももっと気楽に、たまには気を抜いて(手も抜いて?)暮らせば気持にゆとりが生まれるでしょう。 「こだわり」はストレスにつながります。「まぁ、いいか……」「ま、そういうこともあるか……」という「明るいあきらめ」も大事です。 ☆ 精神医学では、AさんやBさんの性格を「メランコリー型の性格」と呼びます。 いわゆるうつ病のイメージのこのタイプは、クスリがよく効いて治りますが、本人の性格や考え方のクセがあるので、再発にはくれぐれも注意が必要です。 同じように真面目な性格でも、自分の意志で働き過ぎて発病してしまうタイプがあります。最近、話題の過重労働とも関連しますので、次回、じっくりとご紹介いたします。 (株)日立製作所 マイクロデバイス事業部 健康管理センタ長・産業医 中井幸江
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雲の間から日がさしてうまく撮れました!
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赤い薔薇 豪華ですねぇ〜!
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読売新聞 「鬱の時代」明るく覚悟 勇気を持って直視、悩む 五木寛之さん 「日常の些事に追われていると、実存とか、死とか、老いとか、突き詰めて考えているいとまはないし、自分の覚悟だって再確認することを忘れがち。60年前、太平な世の中が続いたことが、稀有で異様なのではないか。これから非常時に入ってくる中で、改めて原点に返っただけです」。覚悟″という重いタイトルについてこう語った。 混迷をきわめる政局、アメリカの金融危機に揺れる経済…。八百長問題に揺れる大相撲などのスポーツまで含め「すべてのカルチャー、時代が鬱の方向に向かっている」と考える。五木流の表現では、「テロは相手の見えない鬱の戦争。エコも鬱の経済学」。その一方で、鬱は「鬱蒼と茂る」という言葉のようにエネルギーにあふれており、「憂」「愁」などにつながる重要な感覚だと語る。 「登山は登りと下りの両方があるけれど、むしろゆっくり下山する時期が黄金期なのではないか。平安時代でも争乱や、最悪の飢饉の中で優れた文化が生まれている。人生だってゆっくり黄昏に向かって下りていく時期が黄金期だと思います」 鬱の時代に生きる上でのキーワードとして挙げるのは「あきらめる」。五木さんはこれを「明らかに」「究める」、すなわち現実を勇気を持って直視することだと語る。そして、この大変な時代のなかでは「どのように生きるか」よりも、まず、「豚のようにでも生きる。生きていなければ話にならない」とも。それは終戦直後、日本に引き揚げた際に考えたことだ。 「人を押しのけないと日本に帰れなかった。内地に帰ってきた人間は全員悪人だという覚悟もある。非常時には生きるために悪人たらざるを得ないし、人間は大きな悪を抱えた存在であることが露呈する。その人が救われるとか、というのは大きなテーマなんです」。 それは、10年以上の準備期間を経て、新たに連載を始めた小説「親鸞」の主題でもある。平安時代末期は、くしくも王朝文化から武家政権へと変化しつつあった非常時だ。物語で濃密に描かれるのは、貴族や武士だけでなく、体制の枠組みから外れて生きた人々のエネルギーだ。その時代に生きた親鸞も、やはり「鬱の宗教家」だと考える。「己の悪を凝視して、罪業深重と考えて、悩みに徹する。悩む天才だと思います」。 晩年に「和讃」など、多くの著作を残した親鸞を、「晩熟の天才」としてあこがれる。自らは、大河小説「青春の門」を完結させ、ブッダについて書くという前々からの夢もある。「いつ現役を退くかということは考えていません。ずっと発言をし続けて、そこで倒れたら一番うれしい」。 鬱の時代、非常時であっても「にっこり笑って明るく覚悟する」と語る作家は、そう言って笑顔を見せた。
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もみじ紅葉近くで!
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自殺原因は上司の発言による精神障害 静岡労基署長事件 (平19・10・15 東京地判) 事件のあらまし
MR(医療情報担当者)として勤務していた労働者が自殺した件で、自殺の原因が上司の係長の発言が過重な心理的負荷をもたらし、それに基づき精神障害を発症させたとして、労災保険の遺族補償給付を支給しない旨決定した労基署長の処分の取り消しを求めたもの。 判決は「一般に、企業等の労働者が、上司との間で意見の相違等により軋轢を生じる場合があることは、組織体である企業等において避け難いものである」としながらも「上記の通常予想されるような範疇を超えるものである場合には、従業員に精神障害を発症させる程度に過重であると評価されるのは当然である」として、「上司の言動により、社会通念上、客観的にみて精神疾患を発症させる程度に過重な心理的負荷を受けており、他に業務外の心理的負荷やAの個体側の脆弱性も認められないことからすれば、Aは、業務に内在ないし随伴する危険が現実化したものとして上記精神障害を発症したものと認めるのが相当である」として、処分の取り消しを命じた。
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判決要旨 一般に、企業等の労働者が、上司との間で意見の相違等により軋轢を生じる場合があることは、組織体である企業等において避け難いものである。そして、評価表は、精神障害の発症の原因としての業務上の出来事の一つとして、「上司とのトラブル」を挙げ、ストレス要因の平均的強度を、U(中程度)と評価している。上司とのトラブルに伴う心理的負荷が、企業等において一般的に生じ得る程度のものである限り、社会通念上客観的にみて精神障害を発症させる程度に過重であるとは認められないものである。しかしながら、そのトラブルの内容が、上記の通常予定されるような範疇を超えるものである場合には、従業員に精神障害を発症させる程度に過重であると評価されるのは当然である。
第1に、B係長がAに対して発したことば自体の内容が、過度に厳しいことである。B係長のことばは、10年以上のMRとして経験を有するAのキャリアを否定し、そもそもMRとして本件会社で稼働することを否定する内容であるばかりか、中には、Aの人格、存在自体を否定するものもある。このようなことばが、企業の組織体の中で、上位で強い立場にある者から発せられることによる部下の心理的負荷は、通常の「上司とのトラブル」から想定されるものよりさらに過重なものである。
第2に、B係長のAに対する態度に、Aに対する嫌悪の感情の側面があることである。前述のとおり、B係長のAに対する発言は、害意によるというよりは、基本的には業務上の指導の必要性に基づいて行われたと解されるが、上述の言葉自体の内容に加え、営業活動の基本すらできておらず身なりもだらしないというAに対する評価、Aの死後に同僚やAの親族に対してした発言内容からも、B係長がAに対し嫌悪の感情を有していたことが認められる。
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ドーダンツツジの紅葉
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雑木林の中で
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第3に、B係長が、Aに対し、極めて直截なものの言い方をしていたと認められることである。衆目の一致するB係長の性格と他人に対する態度は、自分の思ったこと、感じたことを、特に相手方の立場や感情に配慮することなく、直截に表現し、しかも大きい声で傍若無人に(受ける部下の立場からすれば威圧的に)発言するというものである。上司の側から、表現の厳しさに一定の悪感情を混じえた発言を、何ら遠慮、配慮なく受けるのであるから、そこには、通常想定されるような「上司とのトラブル」を大きく超える心理的負荷があるといえる。
第4に、静岡U係の勤務形態が上記のような上司とのトラブルを円滑に解決することが困難な環境にあることを挙げることができる。本件会社における静岡U係の勤務形態からして、AはB係長から受ける厳しい言葉を、心理的負荷のはけ口なく受け止めなければならなかった上、周囲の者や本件会社が、静岡U係の人間関係ひいてはAの異常に気付き難い職場環境にあったものと認められ、本件の証拠関係をみても、B係長のAに対する言動を本件会社の職制として探知、察知して、何らかの対処をした形跡を認めることができない。このような勤務形態と本件会社の管理態勢の問題も相まって、本件会社は、B係長によるAの心理的負荷を阻止、軽減することができなかったと認められる。
Aの自殺後、Aの同僚らが原告方を訪問して弔意を表した際に、同僚がAとB係長の関係に言及し、このままではまたAのような犠牲者が出る旨述べたという事実は、本件会社の従業員の中にも、B係長の言動は部下の自殺を引き起こし得る程度の過重な心理的負荷をもたらすと感じる者が少なからず存在したことを意味する。このことは、上記のとおり検討したAの受けた心理的負荷を客観的に評価すれば、同種労働者にとって、判断指針が想定している「上司とのトラブル」を大きく超えていることを根拠付けている。 以上検討したところによれば、B係長のAに対する態度によるAの心理的負荷は、人生においてまれに経験することもある程度に強度のものということができ、一般人を基準として、社会通念上、客観的にみて、精神障害を発症させる程度に過重なものと評価するのが相当である。
以上検討したとおり、Aは、平成14年12月末〜平成15年1月中に精神障害(その診断名は、発症当初の時点では、適応障害、そして、同月段階では軽症うつ病エピソード。)を発症したところ、Aは、発症に先立つ平成14年秋ころから、上司であるB係長の言動により、社会通念上、客観的にみて精神疾患を発症させる程度に過重な心理的負荷を受けており、他の業務外の心理的負荷やAの個体側の脆弱性も認められないことからすれば、Aは業務に内在ないし随伴する危険が現実化したものとして、上記精神障害を発症したものと認めるのが相当である。
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08.10.3. シリーズ こころ 今時「うつ病」事情 患者4タイプ 治療法別々 最近の「うつ病」について、日本うつ病学会理事長野村総一郎さんに聞いた。 ―「うつ病」が多様化してきた、といわれますが、どうしてでしょうか。 一つの要因は、診断基準の変化です。近年、世界的に主流になった米国精神医学会の診断基準は、主な症状の数で病気を定義しています。とりあえず原因は問題にしないで、一定の症状があれば、簡単に「うつ病」と診断されます。これにより、以前は、別の病気とされていたものも含まれるようになりました。 もう一つは、「うつ病」が話題になることが増えるにつれ、「気分の落ち込み=病気」という安直な解釈が広がり、間違った使い方をされている面もあると思います。以前より受け入れられやすくなり、安易な診断が増えたという指摘もあります。「うつ病」とは、どんな病気か、改めて整理する時期に来ているかもしれません。 ―現在、「うつ病」と診断されるものにはどのようなタイプがありますか。 私は、主に4タイプあると考えています。@良いことがあっても関係なく重苦しい気分が続き、自分を責める「メランコリー型うつ病」Aそう状態とうつ状態を行き来する「双極性障害」(そううつ病)B軽い憂鬱が2年以上続く「気分変調症」C過眠過食を伴い、良いことがあると元気になることもある「非定型うつ病」です。 ―患者像も変わってきたと言われます。 従来は、まじめできちょうめん、自分を責めてしまう人がなりやすいと言われてきましたが、これは、典型的なメランコリー型うつ病を指しています。内向的な印象がありますが、双極性障害には社交的な人も多くみられます。最近増えた非定型うつ病は、わがままに映ることもあります。 ―治療法は? タイプ別に異なります。典型的なメランコリーうつ病は、一般的にSSRIなどの抗うつ薬が使われます。しかし、双極性障害は、抗うつ薬を飲むと、そう状態を引き起こし悪化する場合もあるので、気分安定薬が基本です。 性格などが影響する気分変調症は、基本的に薬では治りにくく、考え方や生活環境の改善に取り組む必要があります。非定型うつ病では、休養した方がよいとは限りません。 ―診断基準の問題は? 病気の定義を世界共通にした意義は大きいのですが、治療法が違うのに同じ病名で良いのか、という問題はあります。症状で「うつ病」と見立てた後、どのようなタイプか、他の病気に当らないか、鑑別する必要があるのですが、単に病名をつけて終わりにすると、治療を間違う恐れがあります。単純に「うつ病治療=抗うつ薬」ではないことを、医師も肝に銘じる必要があります。 ―現在の「うつ病」をどうとらえたらよいのでしょう。 気分の落ち込みや意欲の減退などが一定期間続く「いろいろな病気の集まり」と受け止めた方が、理解しやすいかもしれません。(高橋圭史)
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朝鮮アサガオ 小さい花ですが色は鮮明な赤
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コルチカム C,プルケルス バルカン半島南部〜トルコ西部の牧草地や林に生きる
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08.10.2. シリーズ こころ 今時「うつ病」事情 問診数分 すぐ診断書 「どうしました?」という医師に、「最近、気分が落ち込んで、何もやる気がおきません」と30歳代前半の会社員が答えた。「食欲はどうですか」「ありません」「よく眠れていますか」「いいえ」「疲れていますか?」「はい」診察はこんな調子だったようで、わずか数分で終了。「うつ病ですね。休養が必要だと思います」と診断書が出たという。 「ほんとうは症状はありませんが、インターネットで見た通りに「うつ病」の症状を伝えたら、簡単に診断書が出ました。おかげでよく休めていますよ」 ある産業カウンセラーは、休職中の会社員との4回目の面談中、そう打ち明けられた。「今の仕事が向いていないので、嫌で休みたかったんです」という。いつも話題は職場への不満ばかりで、元気そうだ。処方された抗うつ薬は「飲んでいませんよ」と話す。 「うつ病」など精神疾患を理由に休職する人が増えていると言われる。例えば、人事院の2006年度の調査によると、国家公務員の場合、1カ月以上の長期病休者6105人のうち、「うつ病」など「精神及び行動の障害」を理由にしたケースが、5年前の1.7倍に増え、63%を占めた。 ストレス社会に心を病む人が増えたこと自体に加え、精神科にかかることへの抵抗感が薄れたことも、患者の増加につながっていると言われる。病気を偽るというのは極端な例かもしれないが、「うつ病」という病名が一般的になったことで、「つらい気分=うつ病」と単純に理解されている面もあるという。 さきほどのカウンセラーは「問診で診断するわけですから、偽るつもりで話をされたら、見抜くのは難しいかもしれませんが、せめて、もう少し、じっくり診察する必要があるのではないか」と指摘する。 甲府市の心療内科たけうちクリニック院長、竹内潤一さんは、初診では必ず1時間近くかけるようにしている。症状だけではなく、仕事や生活全般について質問し、患者の人物をできるだけ理解するよう努める。 「症状はもちろん重要ですが、どんな要素が症状に関係しているか、つかむ必要があります。「うつ病」といっても、人によって薬も違いますから、安易な診断は不適切な治療につながりかねません」と警鐘を鳴らしている。
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08.10.1. 鑑別難しい双極性障害 そう(軽そう)状態の症状 (以下のうち、@を含む、4つ以上の症状が1週間以上続くとそう状態、やや軽くても4日以上なら軽そう状態 @ 異常に気分が高揚し、興奮したり、いらいらしたりする A 自分が偉くなったように感じる B 睡眠時間が減っても元気 C おしゃべりになる D いろいろな考えが次々と浮かぶ E 注意が散漫になる F 目標に向かって異常に頑張る G 後先考えず快楽的な行動をする (米国精神医学会の診断基準DSM―Wより要約)
気分の落ち込み、疲労感、不眠などを感じ、7年前、「うつ病」と診断された福岡県の主婦Bさん(56)。抗うつ薬を飲むと気分が持ち直すので、服薬を続けていたが、昨年3月、気分の重苦しさと疲労感が強まり、精神科病院に入院。抗うつ薬を倍近くに増量された。 約3カ月の入院ですっかり、元気になった。しかも以前より、活動的になった。家庭菜園に夢中になり、元は空き地だったところまで耕し、面積を倍の150平方bまで広げた。夏の暑い盛りも日に6、7時間。トマト、ナス、キュウリ…。食べきれないほどの野菜を作った。 その反動で昨年9月ごろから、徐々に「しんどいなあ」と思うようになり、また気分がふさぎ始めた。 増量していた抗うつ薬でも回復せず、不眠になるなど悪化。今年3月、九州大病院(福岡市)に入院した。 そこで、精神科神経科教授の神庭重信さんに「単純なうつ病でなく、気分の浮き沈みのある『双極性障害』(そううつ病)とみられるので、薬を替えましょう」と言われた。夏場の畑仕事への没頭などは、気分が異常に高揚する「そう状態」の表れとみられた。 神庭さんによると、双極性障害の場合、抗うつ薬だけを飲むと、そう状態を誘発し、その反動で、さらに気分が落ち込むことがある。治りにくいと判断し抗うつ薬を増量すると、さらに悪循環になる恐れもある。だから、治療は、気分の波をなだらかにする気分安定薬が基本になる。 Bさんも薬を気分安定薬を中心に替えた。その後、不眠などの症状はほとんどなくなり、今は週2日、1日2時間程度、家庭菜園に出る。 「正直言って、以前抗うつ薬を増やした直後の方が元気でしたが、あそこまで持ち上げると反動が出るので、今は無理のない範囲で畑仕事を楽しむようにしています」とBさんは話す。 双極性障害と「うつ病」とは薬も異なる別の病気と考えられているが、「実は鑑別は難しい」と神庭さんは話す。双極性障害でも、うつの期間の方が圧倒的に長い傾向があり、患者の多くはうつ状態で受診するので、症状からは「うつ病」と診断されやすい。多くの人が、最適な治療を受けていない可能性があると言われている。 「そう状態は本人も自覚しない場合が多い。急におしゃべりになったり、活動的になったり、イライラしたりすることも、軽いそう状態の症状である場合がある」と神庭さんは話す。
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ソバの刈り取り 天日干し
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稲刈り風景 近所の人の作業を写してみた!
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08.9.30. 眠気の原因 実は別の病気 東京都の会社員Aさん(52)は3年ほど前、気分の落ち込み、眠気などの症状が強まり、3週間仕事を休んだ。診療所で「うつ病」と診断された。 「うつ病」では、不眠が症状として表れることが多い。夜眠れないから、昼に眠たい。それにしても、Aさんの場合は、眠気が強かった。出勤途中、駅のホームのベンチで寝込み、遅刻したり、欠勤したりすることもあった。 「つらくて会社に行きたくないという気分と、眠くて行けないという要素がない交ぜになっていた」とAさんは振り返る。 仕事への復帰に当たり、人事担当者からの紹介で関連会社の産業医、堀川直人さん(富士電機システムズ健康管理センター所長)を受診した。依然として、気分は沈みがちで、意欲が持てない。相変わらず、よく眠れず日中も眠気が強いし、疲れを感じていた。 やはり「うつ病」と診断され、職場に事情を話し、残業がない部署に異動した。薬も替わり、気分の落ち込みはあまり感じなくなった。しかし、数カ月たっても、夜間に目覚める症状や、日中の強い眠気から職場で居眠りすることは続いていた。 堀川さんは当初、眠気は薬の副作用か薬の効果が不十分なためと思った。しかし、薬を調整しても続くことから、「眠気自体は、うつ病とは関係ないかもしれない」と考えるようになった。 当時、Aさんは身長1b65で体重80`の肥満体形。聞けば「自分のイビキで目を覚ますことがある」という。呼吸器内科で検査したところ、一晩に数十回、10秒以上呼吸が止まる無呼吸状態に陥っていた。「睡眠時無呼吸症候群(SAS)。のどの気道が狭くなり、呼吸が頻繁に止まるため、不眠の原因になる。 それから毎晩、睡眠時無呼吸症候群の治療として、気道がふさがらないよう鼻に空気を送るマスクをつけて寝るようにした。すると、夜、ぐっすり眠れるようになり、日中の強い眠気はなくなった。 堀川さんは「睡眠障害や集中力の低下、疲労感などは、うつ病でも起るが、睡眠時無呼吸症候群でも同様の症状が出る」と指摘する。Aさんの場合は、二つの病気を持っていた。 「うつ病」の個々の症状は、いわば日常的なもので、ほかの病気と共通するものも多い。複数の病気が重なっている場合もあることを理解しておきたい。
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08.9.29. 読売新聞 今時「うつ病」事情 「職場以外は活動的」増加 「うつ病」の症状 以下の5つ以上が2週間以上存在(@かA、いずれかは必須) @ ほとんど1日中、毎日の抑うつ気分 A ほとんど1日中、毎日、興味、喜びの減退 B 食欲減退または増加 C 不眠又は睡眠過多 D あせりを感じる、会話や動きが遅くなる E 疲労感、気力の減退 F 罪責感 G 思考力、集中力の減退 H 自殺を考える (米国精神医学会の診断基準DSM―Wより)
企業と契約し社員相談に当たる産業カウンセラー、高関薫さん(61)は「近年、うつ病と診断されて面談する社員の印象が変わってきた」と話す。 「うつ病」と言えば、周囲の状況に関係なく沈んだ気分が続き、何事にも意欲が出ないのが主な症状。患者は、きまじめで手抜きができず、すぐに自分を責める…。 ところが、高関さんがここ数年面接する人の多くは、「もっと私はできるのに」と周囲を責めたり、趣味など仕事以外では活動的になったりする。20歳代後半〜40歳前半が多い。 一昨年、「うつ病」と診断され、休職した30歳代のIT企業の男性社員もそんな人物だ。高関さんとの面談中、「職場がつらい。先週も何もやる気が起きなかった」と訴えつつも「来週は東南アジアに旅行に行く」と話した。 この男性は半年間病欠したが、今度は、その分忙しくなった同じ職場の同僚が相談に来た。疲れから、「うつ病」に陥る危険を感じたので休養を勧めたが、「今は休めない」と一段落するまで仕事を続けた。こちらの方が、「うつ病」に陥りがちな気質に見えた。 ここ半年、「うつ病」関係で面接した会社員30人のうち、きまじめな従来型は約10人、3分の2は、職場を離れると元気になるといったタイプで、「職場うつ」「未熟型」「逃避型」「現代型」などと呼ばれている。 産業医の経験が豊富な東大病院精神神経科の河村代志也さんは「最近増えた若い患者は、職場などの環境に順応できずに苦痛を感じる『適応障害』や自己愛的な性格が元になって、「うつ病」と診断されている場合が多い」と見る。 こうしたケースでは、一般的な治療である抗うつ薬が処方されても、効果は薄い。「本人と職場」の問題なら、職場を離れれば症状は消え、元気になる。単に長期間休養しても、同じ環境に戻れば再発しやすい。 考え方にバランスを欠いた面がある場合は、カウンセリングなどを用いた治療を行う方法もあるが、時間がかかる。ストレスの少ない職場に変わるなどの調整が現実的な対処法になる。 近年、最も普及した診断基準「うつ病の症状を参照」では、9項目中5つを満たせば、「うつ病」の診断がつく。河村さんは「精神科受診への抵抗感が薄れ、うつ病と診断される人が増えている。その中には、様々な患者がいるので、治療も一律に、抗うつ薬と休養とは限らない」と話す。
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コスモス畑 白、赤、色とりどり
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向日葵
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08.6.22 読売新聞 ひとヒト人物語 小説で「告白」死にたいなんてもう思わない うつと生きる女将の決意 神奈川県湯河原町の温泉旅館「旅荘 船越」の玄関で、女将の平野洋子さん(45)が笑顔で宿泊客を出迎える。 親が創業した旅館を27歳の若さで継ぎ、テレビや雑誌でも紹介されてきた名物女将が実は抗うつ薬や抗不安薬を手放せないことに気づく客は少なくない。だが、地元の人たちは彼女の病気を知っている。 国家公務員の夫(44)を持つ平野さんは、経営と接客を一人で切り回してきた。 朝6時から旅館で働き、歩いて2分の自宅に帰れるのは日付が変わるころ。そんな生活を繰り返して迎えた2002年5月のある朝、息がしづらく心臓の鼓動が激しい。うつ病とパニック障害の併発と診断された。39歳だった。 休養を勧められたが、自分がいなければ旅館は回らないという自負があった。夫と支配人以外には病気を隠し通そうと心に決めた。 客室で苦しくなると、作り笑いを浮かべてその場を離れる。厨房で発作が起きれば、料理人に気づかれないよう控室に駆け込んだ。 家から旅館に続く坂道を歩くのがつらくなり、やがて自分には生きる価値がないと考えるようになった。 首をつろうとしたことがある。04年秋。夫と親友に電話し、「今までありがとう」と告げた。次に覚えているのは、親友に抱えられて泣いていた自分の姿だ。 湯河原町主催の文学賞があるのを知ったのは翌05年秋。 「湯河原を題材にした作品大歓迎」という広報誌の文句に胸が高鳴った。 早春の梅、初夏のサツキ、秋の紅葉・・・・・。季節ごとに姿を変える湯河原が好きだ。その美しさを描いてみたい。素直にそう思った。 ひと月かけて構想を練った。うつ病の女将が周囲に支えられ、湯河原の自然の中で、回復していく物語。自分と同じ境遇の主人公に、地元の美しさを語らせた。 06年2月、湯河原文学賞の最優秀賞受賞の知らせが届いた時の夫の言葉は忘れられない。「すごい。君は無価値な人間じゃないよ」 地元で祝賀会を開くという話が持ち上がった時、ある考えが頭に浮かんだ。 旅館の女将が登場するとはいえ、知人の多くは完全なフィクションと受け止めている。これは私がモデルだと言ってしまえば、隠し通すことのつらさから解放されるのではないか。 当日こうあいさつした。「この小説は限りなくノンフィクションに近いフィクションです」 数日後、商店街で見知らぬ人に話しかけられた。「私もうつ病を告白したら楽になりました。ありがとう」。同じ病気に苦しむ人を私は励ますことができる。そう知ったのはこの時だ。 作品の出版を決意。同年6月に「梅一夜」(祥伝社)が出ると「勇気づけられた」「自殺をやめた」などとつづった便りが続々と届いた「君は自信をもっていい」。夫の言葉が一層素直に受け止められた。 今も誰にも会いたくない時がある。ただ前のように無理はせず自宅で過ごす。病状が劇的に改善されたわけではないが、作り笑いと死にたい気持ちは消えた。 新しい目標もできた。「心を病んだ人がいやされるような宿にしたい」 そのためにはどうしたらいいか。思いを巡らせながら旅館までの坂道を歩く。(野口博文)
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08.6.13 過労死自殺急増 あり方問われる産業界 仕事上のストレスや過労から精神障害を患い、自殺する人が増えている。2007年度は全国で81人が過労認定され、過去最多を更新した。本県は過労自殺と認定された勤務医を含む五人で、過去最多だった03、06年度の2人を一気に超えた。 長時間労働や責任の増加、成果主義の拡大などが働く人たちを追い詰めているのだろう。コスト削減のための人減らしが背景に指摘されている。企業にはメンタルヘルス対策の徹底が求められるが、最近の産業界のあり方が問われる事態でもある。 厚労省の調査では、07年度の精神障害の労災申請は952件と前年度比16%増で過去最多。03年度の2倍を超えた。労災認定は268人と前年度比3割増でこれも、過去最多である。うち自殺は05年度の2倍になる。とても尋常とは言えない。 自殺を労災認定された人は20代から50代までの各年代にまたがる。業種別では製造業や卸小売業に多く、職種では専門技術職が目立っている。本県の5人は製造、卸小売業、建設、医療福祉の4業種で、30代が3人、40代と50代が各1人だった。 働き盛りに集中しない年代の拡散は大きな特徴だろう。人員削減で若い層へも仕事量や責任がしわ寄せされている実態がうかがえる。 精神障害の労災申請は県内では実は少ない。07年度の都道府県平均は20件だったが、本県は5件で茨城(20件)や群馬(10件)を大きく下回った。06年度も7件(全国平均17件)にとどまる。引っ込み思案な県民性の反映だろうか。我慢する必要はない。該当するか労基署に相談してみたい。労働環境の改善にもつながることだ。 企業の6割にうつ病や心身症などで1ヵ月以上休職している社員がいる、と民間調査機関・労務行政研究所が4月に発表している。カウンセリングや電話相談などメンタルヘルス対策の実施率は大企業が99%に達するが、300人未満の企業は57%にとどまる。中小企業は対策を急ぎたい。 ただ問題の根本には過重な労働やストレスを生む効率第一主義の経営がある。産業界がそれを変えない限り、事態の改善は困難で、多くの精神不調者が存在し続けることになろう。社員、従業員の心身の健康維持も企業の重要な社会的責任だと指摘したい。
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部屋を飾る生花 洒落てます。
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08.6.14 読売新聞 キヤノン社員自殺「労災」 キヤノンの富士裾野リサーチパーク(静岡県裾野市)に勤務し、2006年11月に自殺した研究開発職の男性社員(当時37歳)について、静岡県の沼津労働基準監督署が「過労が原因」として労災認定していたことがわかった。代理人の弁護士が13日、記者会見して明らかにした。 代理人によると、男性は06年4月に職場のサブリーダーとなってから残業時間が増え、自殺前1カ月の残業時間は、確認できただけでも263時間50分に上ったという。キヤノン広報部は「労災認定を事実として厳粛に受け止め、誠意をもって対処していきたい」とコメントした。
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朝日が輝く雲 周りはまだ暗い
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小豆温泉ロッジからの新緑
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08.6.5. 下野新聞 心病む教師急増 休職者10年で5倍 現場「助け会う余裕ない」 業務多忙、理不尽な親との人間関係…… 県内の公立小・中学・高校で、うつ病など精神性疾患のため休職する教職員が増え続けている。1997年度から2006年度までの10年間で5倍に迫り、病気休職に占める割合もほぼ倍増している。多忙な業務、理不尽な保護者との人間関係にストレスを感じているためでは、とみる教職員が多い(田面木 千香) 本県の教職員は最長180日の傷病休暇を経ても回復しない場合、病気休暇を取得することができる。1997年度の病気休職者42人のうち、精神性疾患の休職者は16人で割合は38.1%だった。しかし、2006年度は115人中77人で、占める割合は67%と108倍になった。精神性疾患による休職者77人は10年前の4.8倍と急増している。 「保護者や子供との関係に苦労しているのが原因の一つだと思う」と話すのは宇都宮市の小学校教師。「自分の子供を特によく見てほしい」など、身勝手な要望をする保護者や集団生活のできない児童が近年、目立つようになり「対応に迫られ多忙感、疲労感を抱えてしまうのでは」と推測する。 さらに、この教師は「教員同士、互いに気を配る余裕があればいいのだろうが、目いっぱい授業を持っている先生は多く、難しい」 50代の中学校教師は「多忙な現状のままだと、病気休職をする教員はもっと増えるだろう」と将来を悲観する。前任校に、精神性疾患のため休職していた教師がいた。しかし「十分に授業をフォローできるほど、現場の教員に余裕はなかった」と振り返る。そのため「(授業をする)自分の役割を果たしてほしい、というのが本音。先生自身が弱くなっていることも理由の一つにあるかもしれない」と話した。 県教委は、教職員を対象に県内7カ所の相談・医療機関でカウンセリングを無料(回数制限あり)で受けられる相談事業を実施。各種研修でメンタルヘルスについて講習したり、休職者の職場復帰を支援するなどの取り組みを行っている。
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08.6.3.読売新聞 名ばかり管理職でうつ病に 若手負担重く 精神疾患の労災認定増加 非正社員増え長時間労働 08.5.24掲載 2〜30代を中心に精神疾患の労災認定が広がっている。人件費削減のため非正社員が増えたあおりで、正社員の負担は重くなる一方だ。 残業代が出ず、長時間労働を強いられる「名ばかり管理職」の若手が職場で孤立感を深め、心の病にかかるケースも出ている。今月9日、権限や裁量もない名ばかりの管理職で残業代が出ないのは不当だとして東京地裁八王寺支部に提訴したコンビニ店長清水文美さん(28)はうつ病で休職中。近く労災も申請する。 高卒後、ガソリンスタンド店員など5つのアルバイトをして1昨年9月、正社員に採用された。 「自分の将来をつくっていくために正社員になりたかった。母は拍手して『おめでとう』と言ってくれた」と振り返る。 入社後9カ月で店長に。店には清水さんしか正社員がいない。出勤できないバイトに代わってシフトに入り、早朝から深夜まで働いた。 うつ病発症前の半年間の残業時間は月平均で108時間。昨年8月には160時間を超え、4日間で80時間働いたこともあった。次々と辞めていく社員の穴を埋めるように、1年2カ月の間に職場は6回も変わった。 昨年5月ごろから腹痛や不眠、食欲不振に悩まされ、4カ月後うつ病と診断された。「店長はバイトの相談を受ける立場。孤立して相談できる人もいなかった」と清水さん。「社員が辞めるから会社は常に正社員を募集していた。会社は僕たちを将棋の駒のようにしか思っていない」と憤る。 過労死弁護団全国連絡会事務局長の玉木一成弁護士によると、精神疾患による休業や復職に絡む若い人の法律相談が増えているという。 玉木弁護士は「労災は会社を辞めた後に申請する人が多いが、その前の段階での相談が多い。数字に表れない層の広がりを実感している」と指摘。「名ばかりの管理職など会社が個人に責任を取らせる働き方が多い。辞めたらもう正社員になれないというプレッシャーも広がっている」と話した。 負担のしわ寄せ 過労自殺問題に詳しい川人博弁護士の話 中高年のリストラが進み、雇用者の3分の1が派遣やパートなど非正規労働者となり、管理職になる前の若い正社員に負担のしわ寄せがいき、仕事の負荷が増えている。過労死問題が本格的に取り上げられた約20年前は4、50代がほとんどだった。今は若い世代にシフトしてきている。
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只見町塩沢・江戸時代の名主屋敷・民宿
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白牡丹の花 鮮やかですねぇ!
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08.4.10 下野新聞 「過労死の現場」改善へ 心の健康対策に重点 とちぎ地域医療 医師の自殺繰り返すまい 県央の病院 県央の病院に勤務中に自殺した男性外科医=当時(38)=側の労災申請をめぐり、鹿沼労働基準監督署が過労自殺などと認定したことを受け、長時間労働や精神面の支援体制の不十分さを同労基署から指摘された本県と埼玉県内の病院が9日までに、勤務医の労働時間短縮やメンタルヘルスケアなどの再発防止策に乗り出した。両病院は労災認定を教訓に「二度と繰り返さないようにしたい」と強調する。一方、同労基署は両病院に対する是正勧告や指導を検討している。 男性外科医は2000年12月から埼玉県内の公立病院に約1年半勤務し、02年5月に県央の病院に転勤。同年6月に県内の高架道路から飛び降り自殺した。 両親の労災申請に鹿沼労基署は今年3月「公立病院では月80時間を超える時間外労働が恒常的だった。県央の病院も、医療ミスをした外科医に対する精神的な支援が不十分だった」などと判断。過労自殺と認定した。 今回の労災認定に県央の病院は「厳粛に受け止める」とした上で、「診療科長らに自殺の予兆や危機に関する基礎知識の資料などを配布した。心の内面を知るのは難しいことだが、SOSの気付きに向けた現場の意識向上に努めたい」とメンタルヘルス対策に重点を置く方針だ。 一方、長時間労働を指摘された埼玉県内の公立病院は「外科医が勤務していた5,6年前は、勤務医も少なすぎたようだ。現在も医師不足だが、労災認定の反省からどうすれば労働時間の短縮に結び付けられるかを衛生委員会などを通じて検討していきたい」とコメントしている。 両親の労災申請の代理人を務めた小山市の石郷岡耕一・社会保険労務士は「労基署はきちんと病院を是正勧告・指導し、再発防止策を書面で求めるべきだ。他の病院も同様の犠牲者を出さないように労務管理を真剣に考えてほしい」と話している。 過労死弁護団全国連絡会議によると、過去5年間に少なくとも10人の医師や研修医が過労による自殺または過労死と認定されている。
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08.4.23 下野新聞 うつ病での解雇無効 発症と業務の関係認める 東京地裁
過酷な勤務が原因でうつ病となったのに、休職期間終了を理由に解雇したのは不当として、東芝の技術職の元社員重光由美さん(41)=埼玉県深谷市=が解雇無効の確認などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は22日、解雇を無効と認め、慰謝料など835万円と未払い賃金を支払うよう命じた。 鈴木拓児裁判官は「うつ病発症前の半年間の時間外労働は平均で月約90時間。業務も肉体的、精神的な負荷を生じさせるもので、うつ病との間には因果関係があり、解雇は無効」と判断した。 原告側の代理人は「仕事が原因でうつ病となった労働者を一方的に解雇するケースは多い。ただ訴訟になる例は少なく、今回のように業務が原因でうつ病になったと認め、解雇を無効にした判決は珍しい」としている。 判決によると、重光さんは埼玉県の深谷工場で2000年から液晶生産ラインの立ち上げなどを担当。長時間の過重な労働で01年4月にうつ病を発症し10月から欠勤していたが、会社は04年9月に解雇した。
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山桜 散り始めた
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サンシュウの花
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「うつ病」関係
(反応性うつ病の業務上外について) 当局管内○○労働基準監督署長より下記事案に係る標記についてりん伺があり、検討の結果、当局としては、標記疾病は労働基準法施行規則別表第一の二第九号に該当する業務上の疾病であり、自殺未遂による負傷も業務上の事由による災害であると判断しますが、なお疑義があるのでこれらの業務上外についてりん伺します。(要旨。以下同じ)。 記 請求人(男、発病時31歳)は、昭和45年4月、○○株式会社に入社、設計部第一課に配属され、以後設計技術者として高架橋、駅舎等の地上構造物設計を主たる業務としてきた。昭和53年9月に受注した○○線○○地下駅詳細設計の業務に技術面における事実上の立案者として従事したが、当該業務には大都市ターミナル駅における大規模地下駅としての特殊性、新技術の導入等に伴う技術の困難性、相次ぐ設計条件の変更等による納期確保の困難性が認められ、また、社内の協調体制が十分なものではなかった。 請求人は、昭和53年11月頃より不眠等を訴え、翌年1月、○○病院(精神科)に受診、神経症と診断され、その後同年7月までの間に○○大学付属病院等でうつ病又は心因反応と診断されて通院又は入院による治療を受けていたが、同月19日、○○線○○駅ホームより投身し、両下肢切断の重傷を負ったものである。 なお、請求人は、医学的にみて誠実、責任感が強い、几帳面等の性格特性を有しているが、精神障害に係る既往歴、家族歴は認められていない。 請求人は、本件精神障害及び負傷は前記設計業務における種々の困難性等から生じた著しい精神的負担を受けたことによるものであるとして労災保険給付の請求を行ったものである。 貴見のとおり取り扱われたい。(昭59・2・14 基収第330号)
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| 「基収」 労働省労働基準局長の回答
名古屋高裁 昭和57年(行コ)第三号 昭和58年9月21日判決 会社主催の忘年会への参加が業務行為とは認められないとされた例 控訴人は、事業主が労務管理上、懇親会等の対内的社外行事を行うことが必要であると判断し、管理職が労働者に参加を要請し、通常勤務日に参加者を出勤扱いとして行う社外行事に、労働者が、事業主の意向に沿い、これに参加せざるを得なかった場合には、当該労働者が世話役、あるいは幹事役でなくとも、事実上従属的労働関係のもとにあったのだから、労働者の社外行事参加について業務遂行性を認めるべきであり、したがって控訴人の本件会合への参加には業務遂行性があると主張する。 しかしながら、労働者が事業主(使用者)主催の懇親会等の社外行事に参加することは、通常労働契約の内容となっていないから、右社外行事を行うことが事業運営上緊要なものと客観的に認められ、かつ労働者に対しこれへの参加が強制されているときに限り、労働者の右社外行事への参加が業務行為になると解するのが相当である。前記認定事実(原判決引用)によれば、本件会合は、A道路企業株式会社が経費の全額を負担しているが、従業員の慰安と親睦を目的とするものであって社会一般に通常行われている忘年会と変わりはないから、本件忘年会を行うことが右会社の事業運営上緊要なものとは認められず、また右会社役員が従業員に対し、特に都合が悪い場合は格別、できるだけ参加するようにと勧め、参加者を当日出勤扱いにする旨伝えたことは認められるものの控訴人に対し本件忘年会に参加することを強制した事実は認められない。したがって控訴人が本件忘年会に参加したことを業務行為と解することはできず、右忘年会参加について業務遂行性を認めることはできない。
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ショウジョウバカマ
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ダンコウバイ
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山下 格 著 精神医学ハンドブック より抜粋 心身症のおきかた 心身症が「心理社会的因子が密接に関与」する「病態」であるという意味を理解する糸口は、いま述べた身体的変化であるが、臨床の場面で実際におきることを理解するには、なおいくつかの知識が必要である。
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a ホメオステイシス 社会・心理的刺激によって「闘うか逃げる」という生理的変化、すなわち交感神経系及び一部のホルモンの機能亢進がおきることはすでに述べた。ところが生体は、刺激によって一方向の変化がおきると、すぐ反対の変化を生じて平衡を保つ性質を持っている。たとえば生体に熱が加わって体温が上がると、すぐ発汗が起きて体温を一定の範囲に戻そうとする。これは、前記のキャノンがホメオステイシスと名づけた、生体機能の常用な特性である。 前記のように自律神経系には交感神経系と副交感神経系があり、前者は「闘うか逃げる」ための諸変化を起こし、後者は反対に消化・吸収・貯蔵など、修復のための諸機能を持つ、上記の身体的及び感情的刺激によって前者の交感神経機能が亢進してからだの変化が起きると、このホメオステイシスのからくりによって、すぐ副交感神経系の機能も亢進する。ホルモンの分泌にも同じような変化が起きる。したがってこれらの刺激によって、実際には交感神経系と副交感神経系と各種ホルモンを全部合わせた、自律神経・内分泌全体の機能変調が生ずるといえる。 日常生活のなかで、刺激は絶えずおき、自律神経・内分泌機能はそれに応じて変化して、からだの働きを一定範囲に保っている。しかし刺激があまりに強く、あるいは長く続くと、さまざまな支障を生ずるようになる。
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満開の梅花と青空
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ののひろ(のびるとも言う)食べられます!
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b 筋肉運動 猫に犬を吠えつかせるキャノンの実験の際に、猫は顔を引きつらせ、背をまるめ、爪をむくとともに、全身の筋肉を細かくふるわせていた。すなわち、「闘うか逃げる」ために、自律神経・内分泌系だけでなく、全身の筋肉を含む運動系が緊張状態にあったわけである。現代の我々の日常生活においても、同じことが起きていると言える。
c 免疫 最近、免疫に関する研究の発展とともに、感情と免疫機能の関連が注目されるようになった。免疫の働きは自律神経・内分泌系の影響を受けるので、社会・心理的刺激により二次的に変化する。しかしときにはその変化が独自におき、反対に自律神経・内分泌機能に影響を及ぼすことが知られている。
ここで、前記の身体的および感情的な「非特異的」刺激による「共通」の変化というストレスの現象を、上記のa、b、cの変化を加えて表現しなおすと、ストレスとは、さまざまな物理・化学・生理・社会・心理的刺激によって自律神経・内分泌・運動・免疫機能の変調をきたす現象である。ということができる。そのうち社会 ・心理的刺激による変化が、心身症と特に関連が深いわけである。 しかし、これらの変化が実際の臨床面に現れるには、さらに次のような要因が加わることが多い。
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d 予期不安 人間は物事を記憶し予想する能力が優れているので、苦痛や危険に対していわゆる予期不安をいだきやすい。このためしばしば、以前に経験した痛みを思い出し、あるいは今後の苦しみを連想するだけで、現実の社会・心理的刺激に似た生理的変化及び自覚症状を生ずることがある。
e 暗示 人間はまた、暗示によって同様の自覚症状を生じやすい。自ら意図して身体感覚や気分を作りだすのが自己暗示、他人が暗示の操作をして同様の効果を生み出すのが催眠である。しかし実際には自分の意図や他人の操作を意識しないうちに、何らかの暗示が働いていることが少なくない。たとえば偽薬(形や色は同じでも薬の入っていない錠剤など)の効果は、その1例である。
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ねこやなぎ 早春ですね!!
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梅の花 開花 匂いますよ!
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f 条件反射 予期不安や暗示よりもいっそう自動的に起きるのが、各種の条件反射である。ある場所、ある人、ある香りだけで、反射的に特定の身体感覚や生理的変化が起きる。それは昼のサイレンを聞いて空腹を覚えるように日常的な現象であるが、病気に関連してしばしば不都合な結果を生ずる。
したがって、社会・心理的刺激による「戦うか逃げる」ためのからだの変化と、上記のa、b、c及びd、e、fの諸変化が一体になった現象が、心身症(および一部の神経症)のもとになっていると考えることができる。
P26: この抑うつ神経症(神経症の抑うつ状態)については、のちに気分障害の項目(p75)で再度取り上げる。本来のうつ病は体質的素因が関与する「からだの病気」で、脳内の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリン)の代謝の変化が想定されている(p85)。この脳内神経伝達物質は、前記の心身症の項目で説明した自律神経・内分泌機能を調節する物質で、社会・心理的ストレスによって大きな影響を受ける。神経症の了解可能な抑うつ状態の場合にも、この神経伝達物質の代謝に何らかの変化が生じてる可能性は否定できない。(同様のストレスが、素因のある人に内因性うつ病を誘発することは後に(p75.85)述べる)。 治療には、抗うつ薬とともに抗不安薬や睡眠薬を用いながら、生活状況に応じた支援を続けることが必要である。
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P74 ここで「主に内因による」という表現のうち、「主に」とは、「症例により大きな違いがあるが、しばしば一定程度に」というほうが、より実際に近い。また「内因」とは、遺伝体質的素因のことである。遺伝という言葉は特殊な印象を与えるが、遺伝疾患は大きく分けて2種類ある。一つは唯一の特殊な遺伝子による病気(単因子遺伝病)で、メンデルの法則通り優性・劣性常染色体性・伴性の条件にしたがって発病する。病気の種類は非常に多いが、各疾患の患者数はごく限られている。いま一つは多数の遺伝子の各作用の促進・抑制のバランスがかたよる結果、例えば背の高い両親から背の高い子供が比較的多く生まれるように、一般人口平均より近親者に比較的多く見られる病気(多因子遺伝病)で、メンデルの法則にしたがわず、環境要因により大きな影響を受ける。すなわち誰でも(あなたも私も)、程度の違いはあれ、多少ともそのような素因を持っている。病気の種類は高血圧、糖尿病、各種の癌などのごくありふれた病気で、患者数は非常に多い。以下に述べる気分障害も統合失調症も、後者の多因子遺伝疾患に属するといえる。 多因子遺伝疾患の病気のおきかたは、高血圧(本態性高血圧症)を例にとると理解しやすい。近親者に高血圧の多い人は、そうでない人に比べて、中年になると血圧が高くなりやすい。特に塩分の取り過ぎ、太りすぎなどがあると、その傾向が強くなる。さらに前章の心身症の項に記したように、種々のストレスが加わると、血圧はいっそう上昇する。特に素因が大きければ、若いうちから血圧が高くて、薬が必要になり、それでも十分には抑えきれないこともある。気分障害や統合失調症でも、同じような事情が見られる。
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梅の花 もうすぐ満開
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節分草 小さな花です!
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すなわち、気分障害や統合失調症は、このような意味で高血圧などと同じ「普通のからだの病気」である。その背景にはほかの病気と同様に種々の程度の体質的素因があるが、精神的ストレスを含む環境要因によって大きな影響を受ける。 したがって気分障害や統合失調症の診断も治療も福祉的な援助も、ほかの身体疾患と同様に行われる。それらは心身症や神経症に対しても「主に内因によるもの」に分類されるが、特殊な遺伝疾患でなく、あくまでも「普通のからだの病気」であることを、医療・福祉関係者はもちろん、患者本人および家族も銘記することが望まれる。
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気分(感情)障害 (F3) 気分障害(感情障害と呼んでもよい)の分類、用語、発病のメカニズムについては、国際的になお十分な意見の一致が見られていない。ICD−10も、「この疾患を誰もが十分納得するような形で分類することはできない」としるしている。いま諸学説を羅列的に紹介しても、理解の助けにならないので、ここで以下のように、問題を整理しておきたい。
まず本章では、気分障害を、T.うつ病(うつ病エピソード:F32、反復性うつ病障害:F33)とU.躁うつ病(躁病エピソード:F33、双極性感情障害(躁うつ病):F31)に分ける。そして診察の時点までにうつ病の周期しか見られない場合をT、躁病の周期がみられたときはUと診断する。うつ病と診断したあとで躁病の周期があらわれるなら、その時点で診断名を変更する。両者が別の病気か否かは、いまは問題にしないことにする。 およそ抑うつ状態が生ずるのは、おおまかに言うと次の四つの場合である。
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(1) 社会・心理的要因が重要な場合 これまで伝統的に神経症性、心因性、反応性うつ病などと呼ばれてきた抑うつ状態で、すでに前章の各箇所(特にp25−26)で説明した。臨床症状にも多少の特徴(p−26)が見られること、悩みを持つ人の身になり代わって考えるとある程度までその苦痛を理解ないし追体験できることも、前記のとおりである。すでに述べたように、以下の各ケースが分けられる。 @ 人生の失意や不遇、深刻な対人関係の葛藤、不登校、失職などによって生ずる。各個人の生活環境や性格によって、いろいろ違った色どりや経過が見られる。前記の抑うつ神経症(p.25)が代表的で、多くは不安を伴い、ICD−10の混合性不安抑うつ障害(F41.2)にほぼ相応する。 A 突然の災害、戦争、近親者の急死など誰にも耐えがたい外傷的体験にさらされると、各個人の性格の違いを超えて、適応障害としての短期ないし長期の抑うつ状態(F43.20-21、p40-41)あるいは心的外傷後ストレス障害(F43.1、p39)に伴う抑うつ症状が起きる。 B 前章にしるしたように、パニック障害、各種の恐怖症、強迫性障害などの神経症、摂食障害や性同一性障害、あるいは重い身体疾患、成人後の失明や交通事故による運動麻痺などの各種疾患によって、長期にわたる心身の著しい苦痛及び生活上の困難が生ずると、しばしば抑うつ状態に陥る。
(2)体質的素因が重要な場合 上記の社会・心理的要因が少なくも明確に存在しないにかかわらず、したがって特別の理由がない(ただし本人及び周囲の人々は種々の理由を考えることが多い)のに、のちに詳しくしるす定期的な抑うつ症状が、徐々にあるいは急速に出現して、一定期間続いたのち、再び理由なく軽快ないし完全に消失する。その後も、同様の症状が周期的に反復することがある。すなわち、いわゆる内因性の(したがって普通のからだの病気としての)うつ病である。 この臨床症状には、後述のように、(1)の抑うつ状態と違って、本人にも不可解で周囲の人々にも追体験できない関心・意欲・能率の低下、午前中に悪い日内変動などがみられ、あるいは生活環境の改善や周囲の励ましや慰めでは回復せず、特定の薬理作用を持つ抗うつ薬が有効なことなどから、何らかの身体的変化(p85)によるものと考えられる。 また、このうつ病の症例の一部に、抑うつ症状と裏返しの躁症状(p89)が一定期間あらわれる場合がある。これが躁うつ病で、躁症状のみ出現することは稀である。
(3)内因性うつ病が誘発される場合 (1)にあげたように憂うつになる理由が本人も周囲も思い当たらないにもかかわらず、(2)のような定期的抑うつ症状が、生活の特定の節目に出現する。次の二つの場合があげられる。 @ 特に細かいことも落ち度なくやりとげようとする几帳面で熱心な性格の人が、例えば昇進に伴う転勤、結婚や就職による移住、新築した家への引越し、定年退職後の生活環境の変化などの後、新しい生活状況に適合する努力を重ねるうちに、疲労感に続いて定期的に抑うつ症状を生ずることがある。この症状がおきる生理的機転については、のちに詳しく述べる(p85)。その後、特別な生活状況の変化のないときにも定期的なうつ病をおこす場合が比較的多いことからも、うつ病が「誘発」された状態と考えられる。 A 精神的な要因があまり関与しない生理的な変化、例えば日照時間が不足する冬期間、純粋な身体的過労、あるいは出産のあとなどに、繰り返し抑うつ状態をきたす場合がある。(p84..89)。症状も定期的で、うつ病の一つのタイプとみなすこともある。
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(4)うつ病以外の病気による場合 うつ病とは違う精神疾患の経過中に、明瞭な抑うつ症状が現れることがある。おそらくその病気によって、うつ病を生ずる身体的変化に類似の神経化学的変化が生じているものと思われる。この状態を改めてうつ病と呼ぶか否かは別として、純粋なうつ病との鑑別診断は常に必要である。 @ 統合失調症は、後述のように、きわめて多彩な症状及び経過を示す複雑な病気であるが、その初期あるいは病気が一応おさまった時期などに、抑うつ症状が前面に現れることが珍しくない(p110)。 A アルコール依存症などの薬物乱用によって、生活苦などの心理的理由とは別に、抑うつ症状きたすことがある(p170)。 B 明確な脳機能の変化をきたす疾患(たとえば老年痴呆の初期など)の際にも、しばしば抑うつ症状が現れる(p153.157)。うつ病との正確な鑑別診断は、その後の対応を考えるうえでも重要である。
このように抑うつ状態は、さまざまな要因が複雑に関係して生ずる。うえに述べたのはその大要であって、実際には、例えば(1)の@、A、Bが(2)を誘発ないし症状の悪化・遷延をきたす場合、あるいは初めは(1)のように見えながら子細に経過を追うと(2)と判断される場合など、種々の事例がみられる。したがって抑うつ状態には、症例ごとに臨床症状、前病歴、生活状況、性格傾向などを含む詳細な診察と、それに応じた個別的かつ総合的な治療・援助が必要になる。特定の学説による画一的診断やマニアル的な治療は、努めて避けなければならない。また国際診断基準は、一定の抑うつ症状を示すものを、発症要因を敢えて問わずにすべてうつ病(あるいは大うつ病性障害)と呼ぶので、意味をとり違えないよう注意が必要である。 [follow up} うつ病という診断名は、上記のように多様な病態に対して用いられ、その用法も一定していないので、統計的検討は常に困難を伴う。したがって得られた数値も、慎重に評価しなければならない。 上記の諸要因によって、軽い抑うつ症状が、最初から、あるいは治療後に不完全な改善のまま、長期間持続する状態は気分変調症(F34.T、p88)と呼ばれる。また、主に内因性のうつ病の症例で、経過中に軽い躁状態が短期間見られることがあり、米国の診断基準(DSM)では双極U型とみなされる。これらの状態の取扱いによって、統計上の数値も変わってくる。
しかし、うつ病が増加していることは、種々の臨床統計及び日常の診療経験からも明らかである。総人口あたりの発生頻度は、従来の定説より一桁多い5%前後(10%とも言われる)と考えられている。それが生活環境の変化に伴う症状のそのものの増加か、以前は漠然と自立神経失調症、不定愁訴、神経衰弱などと呼ばれていた症例がうつ病と診断されるようになったためか、確実な判断は難しい。
男女について、欧米諸国では女性に多いことが定説になっている。我国では男女ほぼ同数と言われてきたが、最近は女性が男性の2倍程度多いという報告が見られる。ただし躁うつ病には、諸外国とも男女差がないと言われる。 また、内因性うつ病及び躁うつ病の発見率が、近親者で一般人口平均より多いのは当然であるが、遺伝的にまったく同じ一卵性双生児の片方が発病するとき、相手も発病する比率は50%程度で、環境その他の要因の重要さがうかがわれる。
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T うつ病 a 症状 (1) 身体症状 上記のようにうつ病(内因性)はからだの病気であるから、まず身体症状が自覚され、それを主訴として受診(多くは最初に内科に)する。診断の目安および本人・家族の参考のため、もっとも頻度の高い症状三つあげる。 @ 睡眠障害 寝つきが悪く、眠りが浅く、時には朝早く目がさめて、昼にも眠くならない(比較的稀には、夜に十分眠るのに昼も絶えず眠たい場合がある)。 A 食欲の変化 何か食べたいという気持ちにならない。空腹感はあっても、食べたいと思わない。無理に食べると胃には入るが、好物もおいしいと感じないし、時には味そのものが分からなくなる。そのためしばしば体重がかなり減る。(しかし、稀にはかえって食欲が昂進して、特に甘いものを多く食べ、体重が増すこともある)。 B 体のだるさ 何となく全身が重く、けだるい。体の力が抜けたようで、すぐ横になってしまう。時には鎧でも着たように重苦しい。 C その他の症状 頭全体が重く痛む。胸が締められて息苦しい。いつも口がかわき、軽い吐き気がする。便秘がちになる。性欲及び快感が減退し、インポテンスになる。寝汗をかいて、いくども着替える。その他、多彩かつ多数。 うつ病者は、たとえば頭痛がするために眠れず、食欲もないものだと考えて、医師には頭痛のみを訴えるようなことが多い。後述する精神病も、体の具合が悪いために元気がでないものと考えて、かなり重症のとき以外、自ら訴えることはほとんどない。
諸報告によれば総合病院の内科の初診患者の5%前後はうつ病であるが、その多くは@軽い身体疾患、Aどこも悪いところはないので神経症、Bいわゆる怠け病と誤診される。その理由は、うつ病者が上記のようなごくありふれた身体的訴えをもって一般診療医を訪れ、自分からは精神的苦痛を述べず、一見元気そうで表情・態度に問題を感じさせないからである。そのため十分な問診をせずに、主訴の身体的検査をすすめることが誤診につながりやすい。多少の身体的所見があれば慢性胃炎、肝機能障害、貧血、更年期障害などと診断される。所見がなければ、気弱になってくよくよ心配するうつ病者の様子から、神経症を疑われる。また、自分が怠け者になったといううつ病者の嘆きをそのままうけとって、怠け病と判断される。 最低でも精神科・神経科を受診するうつ病者の多くが、すでにいくつもの病院をまわり、時には長期間入院して精密検査を受けているのが実状である。その過ちを防ぐために、医療関係者はもとより、福祉関係者、本人・家族も、うつ病について必要な知識を持つことが望まれる。
[follow up] 「仮面うつ病」という言葉が、身体症状の仮面によって精神症状が隠されるという意味で用いられることがある。しかし実際にそれは、医師が精神症状に気づかず誤診した際の言い訳病名、あるいはうつ病は恐ろしい精神病という患者・家族の誤信に配慮した気づかい病名であって、そのような特別のうつ病が存在するわけではない。
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(2) 精神症状 うつ病は体の病気であるが、主な症状は精神面に現れる。その様相は複雑であるが、診断に欠くことのできない中核症状を、身体症状と同じく、三つあげておきたい。 @ 関心・興味の減退 日常生活の中で、人は特に自覚しないうちに、何かになにがしかの関心・興味を持っている。例えば朝起きると、新聞を開いて前日の野球の勝敗を調べ、町に出ると若い女性に自然に視線が向き、職場で同僚の笑い話しについ引き込まれて笑う。ところが、うつ病になると、そのようなことに気持ちが向かなくなる。何故か分からないながら、何も以前ほど興味がわかず、女性の美貌も男性の魅力も、十分には心に映らない。 A 意欲・気力の減退 何をするのも面倒で億劫で、特に頭を使うのがいやになる。例えば朝も目がさめてから起きだすのが億劫で、やっと起きても、顔を洗い、ひげを剃り、ネクタイを選ぶのが、あるいは化粧をし、服を選ぶのが、ひどく面倒で、普段はおしゃれな人がいつも同じ格好をする。片付けが億劫で、手紙の返事が面倒で、気にかかりながら後回しにするので、仕事の山ができてしまう。 B 知的活動能力の減退 それまで苦もなくできたことが、中々できず、途方にくれる。新聞を読んでも頭に入らず、仕事の書類をいくども読み返す。簡単なことが決められず、時間ばかりかかって能率が上がらない。主婦は夕食の献立が考えられず、スーパーに行っても何を買ってよいか分からず、つい出来合いのおかずで間に合わせる。 これらの諸症状は、うつ病の精神症状という一つの現象を三つの面から述べたのであって、実際にはそれらが全部一緒に体験される。例えば新聞をよく読む人が急に読まなくなるのは、野球の勝敗などに興味が薄れ、活字を読むのが億劫になり、呼んでも頭に入らないためである。それを患者はただ「新聞もテレビも見ない」という。その訴えを詳しく聞きただして、はじめて抑うつ症状の共通項が見えてくる。患者によって、@あるいはA、Bが特に顕著な場合があるが、どれか一つがまったく欠けることはほとんどない。
また、これらの諸症状は、例えば前記の悲哀反応(p40)のように、理由があって生ずる了解可能な性質のものではない。また自分で気を取り直したり、まわりから元気を出すように勧められたり、遊びに出かけたりすることによって、すぐ軽快するものでもない。このような症状の内容が了解できず、働きかけによって影響を受けないことは、うつ病が体の病気であることを示す特徴といえる。 C その他の症状 うつ病者が普通診察室で口にするのは、すでに述べたように、中核症状全体及びそれらの二次的に派生した、日常生活の具体的な苦痛である。例えば、仕事が何も出来なくて情けない(無力感)、皆が出来るのに自分だけ出来ず残念だ(劣等感)、家族や同僚に迷惑をかけている(自責感)、本当にすまない、申し訳ない(罪責感)、こんなことでは将来も見込みがない(自信喪失)、それを思うと恐ろしくて、じっとしていられない(不安)、一人で焦って、いらいらしている(焦燥感)、自分にも周囲にも無性に腹が立つ(易怒傾向)、つくづく悲しくて涙が出る(悲哀感)、何とも言えず淋しい(寂寞感)など。 このような抑うつ症状がいっそう強まり、あるいは長く続くと、患者は学校・職場に行くのが辛く、少しでも楽になりたいと思い、将来にも自信を失って、周囲の意見を聞くゆとりもないまま退学届・辞表を出す。 あるいは、毎日が味気なく、生きていてもつまらない、死んだほうがましだ、死んだほうがよい、死にたい、という気持ち(自殺念慮)が進んで、一日中死ぬ方法ばかり考え、ついにそれを実行することがある(自殺企図)。特に早期及び回復期には、その危険が大きい。 あるいは比較的稀であるが、自分が貧乏で、病院の支払いも出来ない(貧困妄想)、罪深い人間で、警察が捕まえに来る(罪業妄想)、間違いなく癌になって、余命いくばくもない(心気妄想)などの信念をいだき、説得にも応じないことがある。また、いっそう稀であるが、これらの感情の状態に相応ないし相応しない内容の幻覚が生ずることもある。それが持続するときは、後記の統合失調感情障害(p110)に分類される。
これらの精神症状に関して、注意すべき点が二つある。すなわち、@うつ病者がいかに憂うつな表情で、口数も少なく、うなだれているというのは、かなり重症のうつ病の場合のみで、絶対多数を占める軽症うつ病者は、苦痛に耐えながらも相手に気取られぬように努力して、なめらかに話し、にこやかに笑顔を浮かべて応対することである。そのため家族・同僚・診察者も、本人がそれほど苦しんでいるとは思わない。それが上記の誤診をまねき、突然の退学届・辞表・自殺企図に周囲が驚くこともある。 次は、Aうつ病者が、自分は取り柄のない怠け者で皆に迷惑を掛けていると言うとき、実際には優れた才能を持ち、勤勉で、皆に尊敬を集めていることを、言葉を尽くして説明しても、容易に納得しないことである。過去の成功の事実を示しても、それはただのまぐれ当たりであるという。すなわち、うつ病者は原則として病識を持たない。 ただし、うつ病の周期を繰り返すと、現在の自分の判断が病気のためであることを、時には不完全ながら、認識するようになる。
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(3) 日内変動 うつ病の身体・精神症状を通じて見られる特有な変化に、日内変動が挙げられる。それはうつ病に必発ではなく、程度もさまざまであるが、多くの症例にかなり明瞭に認められる。しかし、前記の神経症の抑うつ状態や悲哀反応(p25.40)、後述する脳器質疾患の抑うつ状態(p15.3.157.170)には、原則として見られない。したがって、もしそれが確認されるなら(確認できなくとも否定はできないが)、内因の関与の大きいうつ病と診断できる。 その変化は、身体・精神症状全体が、朝目をさましたときに最も悪く、次第に軽快して、夕方から深夜には相当回復するものである。極端な場合には、朝どうしても起きられず、朝食も口にできず、午前中はそのまま床についているが、昼には何とか起きだして、多少食事を取り、洗濯機も回し、夕方に家族が帰るとほっとした気分になり、まがりなりに食事を支度して、自分も食べ、テレビを見て、少し笑うこともでき、夜が更けるにつれていっそう元気が出て、明日からはきちんと生活しようと決心して寝るが、眠りが浅くて、翌朝は元に戻り、ひたすら自分の意思薄弱を嘆く、というパターンをとる。 軽症例でも、午前中は頭がはっきりせず、午後から能率が上がり、夕方以降は比較的快調という場合が多い。ただし、これを健康人の夜型の生活リズムと混同してはならない。
b 症状のおきかた 抑うつ状態がさまざまな要因によって生ずることは本章のはじめ(p75)に述べたとおりであるが、いま日本の一般市民の間では、うつ病は几帳面で真面目な人が無理をして疲れると起きる。という考えがかなり広く行き渡っている。事実そのとおりであって、その際の抑うつ症状には、神経症の抑うつ状態(p25)と違って、上記のうつ病の中核症状が認められる。しかし一方では、特別のストレスもなく無理もしていないのに、同じうつ病の症状を反復する人がいる。この一見矛盾する事情を、どのように考えたらよいのであろうか。
(1) うつ病の誘発:性格と環境と生理的誘因 日本では早くから下田が、ドイツはのちにテレンバッハが、それぞれ独立に、うつ病に関係深い性格傾向として、執着性格とメランコリー型性格を記載した。両者は発想も視点も異なっているが、具体像はよく似通っている。すなわち、几帳面、真面目、熱心、良心的、周囲に気遣いをする努力家などの諸特徴である。 そのような性格の人は、仕事にも一生懸命取り組んで適当に休むことをしないので、のんびりした人より、知らぬうちに心身のストレスが生じやすい。例えばそのような人が会社で信頼され、早く支店長に昇進して、任地におもむいたとする。彼は持ち前の几帳面さから、慣れない仕事も完全にやりとげようと努力するうち、1〜2月たつころから妙に疲れて、能率が上がらなくなる。それを取り返そうとして無理を重ねると、ますます頭が働かず、億劫さがつのり、体の不調が現れて、定型的な抑うつ状態に陥る。しかし、任地を離れて1〜2カ月休養し、抗うつ薬を服用すると、非常によく回復する。すなわち、このタイプのうつ病の発病には、性格や生活状況や時間的経過などの多くの要素が、ストレスを蓄積させ、症状の誘発にかかわっている。 同じように、住み慣れた家から引っ越して、さまざまな疲労や心労が重なったとき(引越しうつ病)、定年になって、知人もいなくなった故郷に帰り、新しい生き方に悩むとき(定年うつ病)、そのほか転職、長期出張、結婚、離婚、子供の独立など、種々の生活の変化が、その人の性格や生活状況と関連して、うつ病を誘発することがある。 さらに一方、もっぱら身体的なストレスと考えられる感染症、外科手術などに引き続いてうつ病が生ずることもある。以前からうつ病を経験した女性が、出産のあと高率にうつ病の再発を見ることは、早くから知られている(出産後うつ病)。 このように生理・社会・心理的ストレスの後にも、それが何もないときにも自然に、うつ病が発現する現象については、前章で述べた心身症のモデルを用いて、次のように考えておきたい。
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(2) うつ病の身体的背景とストレスの影響 まず、うつ病が精神症状を主とする体の病気であることに注目する。うつ病が身体疾患であるという証拠は、三つ挙げられる。すなわち、@前記の身体・精神症状の内容や経過は、心理的に了解できず、身体的変化の存在を前提としてはじめて説明できる。A神経伝達物質のセロトニンあるいはノルアドレナリンのシナブス前膜の再取り込みを抑制するか、その分解酵素を抑制することにより、これらの神経伝達を促進する薬理作用を持つ薬物が、うつ病に特異的に奏功する。B反対にこれらの神経伝達物質を消失させるレセルピンが、抑うつ状態を引き起こす(したがってうつ病の患者では、神経系のセロトニンやノルアドレナリン「両者ともモノアミンの一種」の作用が低下しているという、モノアミン仮説が提唱されている)。
[follow up] 脳には約150億の神経細胞があって、電線のような枝をだして、次の神経細胞に情報を伝えている。その情報伝達の接続場所はシナプスと呼ばれ、そこで前の神経細胞のシナプス前膜からそれぞれ独自の神経(刺激)伝達物質が放出され、後の神経細胞のシナプス後膜の受容体に結合して、刺激が伝達される。シナプスに放出された神経伝達物質は、すぐシナプス前膜に取り込まれるか、酵素により分解されて、作用を失う。したがって薬物で再取り込みや分解を抑制すると、神経伝達物質の働きが高まることになる。セロトニンとノルアドレナリンは、多くの神経伝達物質の中でも、特に睡眠・食欲・感情などのコントロールに関連が深い。
ところで、神経伝達物質はもともとホルモンと同じ系統の物質なので、前章の心身症の項で記したように、生体に加わる物理・化学・生理・社会・心理的ストレスによって、さまざまな程度・方向・期間の変化をきたす。一方本章のはじめに述べたように、うつ病は高血圧などと同じ多因子遺伝病と考えられる。したがって、遺伝体質的素因が大きいと特別の誘因がなくとも症状が起きるが、生理・社会・心理的ストレスによって神経伝達物質の代謝に変化が起き、その結果、抑うつ状態が誘発されることも十分考えられる。前記の出産後うつ病や執着性格の人が過労したときの抑うつ状態は、非特異的ストレスが神経伝達物質の代謝に影響を及ぼして、抑うつ状態を誘発する代表例とみなされる。 ちなみに、本章のはじめに述べたように、うつ病とは別の病気、例えば統合失調症や老年痴呆などでも、抑うつ症状がしばしば見られる。これは、その病気によって、上記の神経化学的変化が起きるためと考えられる。 最後に、抑うつ状態の誘発に関連して、臨床の場で生じやすい誤診例にふれておきたい。それは家庭・学校・職場などで困難な問題が起きて悩みが深まり、そのために抑うつ状態に陥ったと本人も周囲も思い込んでいるとき、よく時間的経過を聞きだすと、実際に最初に軽い抑うつ症状が始まって、家事・勉強・仕事がとどこおり、そのために困難な問題を生じている場合があることである。これは原因と結果のとり違いであるから、十分に注意しなければならない。
[follow up] 最近、うつ病と関連して、過労自殺が労務災害と認定される例が増えている。本人を診察することができないため、その判断はしばしば困難であるが、以下のような点が参考になると思われる。 @過労は必要条件であるが十分条件ではない。残業の時間数などのみを基準に判断してはならない。 A自殺の原因として、抑うつ症状の存在をできるだけ確実に推定する必要がある。またその誘因も複合的に捕らえねばならない。上記執着気質(p84)の存在は、必ずしも必要ではない。 Bすでに生じたうつ病によって、能率が低下して仕事がはかどらないために残業が増え、あるいは簡単なミスを深刻に心配するような場合もある。抑うつ症状を早く見出すとともに、原因と結果を取り違えない注意も必要である。(p66)。 Cこの悲劇を防ぐ最良の方法は、予防と早期発見、早期治療である。職場の責任者は、従業員の健康について、身体面のみならず精神面にも、知識と関心をもって管理に当たらなければならない。 Dうつ病者は最初は自分を病気と思わないことが多いが、一度経験し知識を持つと、自分で管理できるようになる(p82)復職時ないし再発時には、職場や家族の理解と支援が特に大切である。
c 症状の重さ・経過・病型 気分障害は、次に述べる統合失調症に比べて、症状の内容は個人差が比較的少ないが、その重さや経過はさまざまである。
(1) 症状の重さ 全体として見れば、うつ病者の大部分は、自覚的な苦悩は、はなはなだしいものの、外来で服薬治療が可能である。家族は本人がそれほどつらい体験をしているとは気づかず、職場でも少し疲れているようだという程度に受け取られていることが多い。 しかし重症となると、通常の勤務が困難で、主婦の場合も掃除・洗濯ができず、テレビもつけず、電話にも出られない。その頃から自殺を思う時間や深刻さが増してくる。家族がいつも一緒にいるなら外来で治療できるが、情況によっては入院が必要になる。 また、比較的稀ではあるが、症状が一層重くなると、ほとんど口もきかず、表情も乏しく、一日中横になって、将来について悲観的なことばかり考える。時には上記の心気・貧困・罪業妄想が訴えられる [follow up] ICD−10では、うつ病の「典型的症状」として、@抑うつ気分、A興味と喜びの喪失、B活力の減退をあげ、さらに「その他の症状」として、@集中力と注意力の減退、A自己評価と自信の低下、B罪責感と無価値感、C将来に対する希望のない悲観的な見方、D自傷あるいは自殺の観念や行為、E睡眠障害、F食欲不振を指摘し、このうち典型的症状が少なくとも二つ、その他の症状が少なくとも二つあるときは軽症、同じく二つと三つの時中等症、同じく三つと四つのとき重症、さらに妄想が見られる場合は精神病症状を伴う重症うつ病とみなして、全体をF32.0〜3に分類する。 しかし、統計的な検討の際は別として、実際の臨床で重要なのは、症状の数よりも個々の症状の重さ、患者の性格や生活情況、家族や職場の理解や協力態勢、そして薬物への反応性などである。
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散歩の途中、青空と柿の木
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(2) 経過と病型 うつ病はもともと周期性の病気である。したがって経過も病型も、この周期の長さや頻度によって分けられる。 この周期は普通1〜数ヶ月、時には数年間続く。ICD−10は、抑うつ状態が原則として2週間以上見られるとき、はじめてうつ病と診断することを勧めている。後述するように、抗うつ薬は普通1〜3週間のうちに、うつ病の諸症状を顕著に改善する。しかし、うつ病の周期まで短縮することはできない。したがって服薬の終了は、慎重に行わなければならない。 この周期は、多くの場合、完全ないしほぼ完全に消失する。その後、また同じ周期が起きるか否かは、簡単に予測できない。しかし、統計的には一生のうちに数回起きる場合がおおいので、その心づもりで用心しておくほうがよい。周期が2回以上起きると、ICD−10では反復性うつ病性障害(F33)と呼ばれる。 一方、特に内因性うつ病の経過中(時には抑うつ症状に先立って)に、しばしば前記のパニック障害(p33)が併発する。それによってうつ病者がいっそう不安にかられ、絶望感を強めることもあるので、的確な診断と敏速な治療が求められる。 明らかな生活上の誘因によって発病したとき、あるいはいつも同じ生活状況により周期が反復するときは、生活のあり方を工夫しなければならない。それは前述の高血圧で塩分摂取量と体重が問題になるとき、それを改める努力が必要なのと同じである。 今患者・家族及び医療者を悩ませているのは、治療によっても症状がはかばかしく改善しない、いわゆる遷延性うつ病である。これも高血圧と同じく、遺伝素因・性格・生活情況などが関係している場合が多い。
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{follow up} 気分変調症(F34.1)また周期が収まった後に、仕事も交際も一応できるが、活気、明るさ、意欲などが今一つ足りず、体の具合もはっきりしない状態が続く場合がある。ICD−10では、前記のうつ病の診断基準を満たさない程度のごく軽い抑うつ症状が数年にわたって続く状態に対して、気分変調症という項目を設けている。はじめからうつ病の周期を経験せず、この状態のみ続くこともある。有名なシュナイダーの性格分類で抑うつ者と呼ばれる陰気な人も、ほぼこの状態に含まれる。内因、性格傾向、生活状況などの諸要因は、差し当たり診断の条件には含めない。
その他の病型 その一方で、明瞭な抑うつ状態がICD−10の診断基準の2週間より短く、しばしば1〜数日間の周期で、ほとんど毎月のように反復する症例が経験される。(反復性短期うつ病性障害:F38.10)。 気分変調症とこの反復性短期うつ病は、抑うつ症状の重さ・期間・頻度の違いが、それぞれ極端な形で現れたものと考えられる。 その他、秋が深まって11月頃から抑うつ症状が始まり、翌年の3月〜4月ころには回復に向かう季節性うつ病が時折見られる。その際、睡眠過多、食欲昂進を示し、精神症状も意欲減退を主とすることが多い。抗うつ薬があまり奏功せず、光照射療法(2.000ルックス程度の照明を1〜2時間毎日みて、覚醒・睡眠リズムを整える)が有効なことから、うつ病の病態研究の面でも興味が持たれている。しかし数年間の経過のうちに季節性が不明瞭になることも多く、睡眠や食欲の増加は季節と関係のないうつ病の経過中にも見られるので、病型の特異性については、慎重な判断が必要である。
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